E.C.、U.S.N.間の緊張が高まる中、デュランダル、ジード部隊はポーランド資源地帯を襲った謎のヴァンツァー部隊を追ってドイツ南部バッサウ市にあるパイプラインへ。実戦経験も浅いエルザをさらなる過酷な状況が待ち受ける。
(本書、裏表紙より)
 
タイトルに「エルザ」とある通り、エルザ視点で書かれたFM4のノベル、その下巻。バッサウ市出撃からE.C.議会場防衛まで描かれ、ザーフトラの謀略に関する証拠収集の作戦が展開される。後半部はストーリーのテンポが速すぎて、淡白な印象を受ける。

グレーザーは上巻での登場以後、十分な存在感があるのだが、反面ヴァグナーが霞んでしまっている。一方で、デュランダル対ザーフトラというストーリーの確信が明らかになってからの、ラトーナの葛藤はゲーム本編よりもよくできている。ベネズエラサイドのキャラはダリルのみが登場し、ルイス、イワノヴナらの脇役はその名前すら出てこない。

読み物としての完成度はともかくとして、「交戦して」を「つっこんで」、「廃棄確定」を「それっきり」などの常軌を逸したルビが物語を貶めている気がしてならない。


著者:秋津透
カバーイラスト:直良 有祐
2004年9月24日発売(2004年10月15日発行)
288頁/小B6判
980円