M.I.D.A.S.

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参考項目

関連語・人物

ロラン・クラムスコイ
Loran Kramskoi
2058年、パラノヴィチ.生まれ。サバラフ大学で原子物理学を学び、国営科学研究所入りし、87年に同研究所所長に就任。93年、原子核線からのエネルギー抽出理論を発表し、科学技術庁賞受賞。02年、USNへの亡命途中に政府機関から追撃をされブレスト郊外で死亡。
エミール・クラムスコイ
Emir Kramskoi
2090年、オルシャ研究所製。オルシャ研究所の研究員であったクラムスコイ夫妻の下で養育されていたが、12歳のとき、夫妻はエミールを連れて亡命を試みるが、ゴルボフスキーにより亡命は阻止され夫妻は死亡し、エミールは追跡を振りきりU.S.N.へ渡った。15歳で物理学博士となり、サウスダコタ放射線研究所に勤務。18歳で金原子線応用理論を完成させ、2109年、放射線制御用のビーム開発などを行うU.S.N.特殊放射線アラスカ研究所(アラスカ、ウアミット市)所長に就任長。
M.I.D.A.S.の母。U.S.N.軍に籍を持ち階級は大佐。
U.S.N.特殊放射線研究所
Peculiar Radiation Reseach Complex
U.S.N.国立の研究機関で原発の安全性の研究、核融合炉の実用化研究、工業や医療など放射線に関連した研究一般を行う。
研究所で開発された中性子ビームによる放射線封じ込め技術は、小型融合路発電施設での実験段階にあり、実用化されればU.S.N.の約3分の1の電力を1基の発電機でまかないうことができるとされる。 研究所は国内3ヶ所にあり、抗がん放射線照射、ナノマシン開発高レベル浄化装置開発を行うバーモント研究所、核融合原子炉実用研究を進めるカリフォルニア研究所、M.I.D.A.S.開発の中心アラスカ研究所。
ウィル・バックホルツ
Wil Backholtz
2056年E.C.イギリス生まれ。ヴァレンシュタイン大電子工学科卒。2082年U.S.N.に渡り、クイネル工科大学の教授を務め、特定のウイルスのみに害を与える放射線研究で2091年にU.S.N.科学技術賞を受賞。2109年、ヴァーモント研の所長就任。
ケン・マッカートニー
Ken McCartney
2075年、フェニックス生まれ。オニール大放射線工学科卒。2090年、苗字をビャーチャムからマッカトニーに改名。同年、ディアブルアビオニクスを退社し、放射線医療器具の開発会社を設立。同社は2108年倒産。2109年、U.S.N.科学技術庁のもとめにより、カリフォルニア研所長就任。

フォーラム

概況

  • 038

M.I.D.A.S.という略称は関連深いが別の2つの技術体系を指す。
大質量素粒子間分離型反陽子生成機、または、物質放射型分離加速システムのこと。
同一の呼称であるのは、前者が(名称としては?)オリジナルだが、U.S.N.国防総省の高官が後者にも同じ略称で命名したことに起因する。

2112年、アラスカ研究所はグリムニル及び日防軍に襲撃され、前者は反応炉の暴走を謀り、後者は物質放射型分離加速システムの強奪。M.I.D.A.S.を巡って各国を巻き込んだ騒乱となった。

項目別詳細

金原子核線理論

ラーブヌイ共和国のロラン・クラムスコイ博士が提唱。その後、ロランの娘であるエミール・クラムスコイが金原子核応用理論を提唱。
金原子核線を原子(物質)に照射した時の現象を説明したもので、金原子核線と原子が衝突すると原子は崩壊して元の質量が99.8%失われ、エネルギー変換効率が極めて高い反応が起こり、金原子核線は安定元素になるまで、エネルギーに変換されなかった崩壊原子(核子)を取り込み続けるため、放射能物質や放射線が残留しないとする理論。

金原子核線照射による核反応の特質1

核線との衝突による核分裂で生じた陽子と中性子は金原子核線の持つ性質によって再度結合し、再び金原子を構成する。プルトニウム核の分裂など他の核反応では、ストロンチウムやセシウムといった毒性の高い原子に分裂することもあり爆発の及んだ範囲は危険地帯となるのだが、金原子核線で起きた核分裂では毒性の物質は一切発生せず、金原子と水素原子に再構成される。

金原子核線照射による核反応の特質2

原子核崩壊(核分裂)で発生するエネルギーは、原子核が細かく分裂すればするほど多くのエネルギーを得られる。原子力のひとつの利用例である原子炉や原爆も原子核をばらばらにする核分裂によって生じるエネルギーを利用したものだが、これらは本来の原子が持っているエネルギーの0.1%以下しか取り出せない。しかし、金原子核線反応では99.8%のエネルギーを取り出すことが可能とされ、あらゆるエネルギー問題の切り札となるという。

大質量素粒子間分離型反陽子生成機

  • Mass Interparticle Dissociation Antiproton Synthesizer

U.S.N.特殊放射線研究所(アラスカ研究所)に建造された大質量素粒子間分離型反陽子生成機。反物質の生成と目的としている。

第8世代の新型加速器を有し、全長112km、出力8.1TeVと世界最大。ニリアックから粒子が集中照射され反応炉で励起状態を引き起こし、地下全体に設置されているコイル群が磁界を制御する。実験にシステムすべての同期が必要で、2111年の技術で半年間の計算が必要とされる。

アラスカ研究所 M.I.D.A.S.施設概略図

各施設の英語名はゲーム本編から引用。日本語名は同様の施設を参考にふさわしいものを当てた。

臨界制御限界超過(暴走)による影響

グリムニル襲撃時と同様な暴走が発生した場合、励起反応点に近づくにつれてエネルギーが大きくなり放射範囲が拡大し、最終的には臨界状態となる。臨界制御限界を超過すると、水平方向にエネルギーは拡散し、反応炉を中心とした直径1,600kmが消滅し、陸上部は平坦な土地となり、海岸線に達すると水深誤差2mmに満たない湾が一瞬で完成とシミュレーション結果が出されている。

上掲の図は5thムービーから。黒い部分が陸地。比較用に日本地図を付加した。
アラスカ研究所でM.I.D.A.S.暴発が起きた場合のシミュレーションを示したものである。エマの説明では直径1,600kmに影響が及ぶとされているが、ムービーでは実際より数100km小さく描かれている。斜線部が本来の直径1,600kmの円である。
おそらくだが、これは意図的に小さくされた、あるいは適当に作られたのではなく、高緯度で距離が正確に反映されない地図を参考にした結果だろうか。

物質放射型分離加速システム

  • Matter Irradiation Type Dissociate Acceleration System

アラスカ研究所の反物質生成施設のシステムを新設計するときに開発されたもので、金原子核線理論、金原子核応用理論に基づき小型化された物質放射型分離加速システム。主に放射線の閉じ込め技術に関するものである。

兵器利用について

U.S.N.軍は、放射性物質を残さない「クリーン」な兵器として、莫大な予算がつぎ込まれ実用化された。
金原子核線を一定の空間に留めておくために、M.I.D.A.S.実用化の要である中性子ビームを利用した閉じ込め技術もE・クラムスコイ博士の研究チームにより開発された。金原子核線を開放することによって核線が放出され、核線が及んだ範囲の分子・原子が崩壊する核線の性質を破壊兵器として利用する。

グリムニル襲撃

2112年7月に反物質の大量生成実験が行われる予定であったが、グリムニルによる武装部隊襲撃を受けた。また、事前にベルナルドがシステムへ侵入して制御を改竄したことで高密度エネルギーから機器を守るデフレクターが誤作動。不慮の事態に備え、すべての計算ロジックに安全マージンが設けたられていたが機能せず、臨界制御限界を超過し施設は崩壊した。しかし、クラムスコイ博士の機転により、地下最下層に設置されたコイルを反転させて臨界方向をコントロールすることで、被害は最小限に抑えられた。

金原子核線の「線」は、放射線の「線」。α(アルファ)線、γ(ガンマ)線、X線、中性子線などと同じ放射線の種類の一つとして原子核線がある。α線とはヘリウム原子核線とほぼ同義(厳密にいえばまったく違うのだが)。宇宙線には炭素原子核線、酸素原子核線、鉄原子核線などが含まれ“(金原子)核線”という言葉・存在は、サードの創作物ではなく実在する。

『パーフェクトワークス』にあるイオン化の記述はわかりにくいが、金原子の持つ電子を電離させるために「イオンビームを照射して金(Au)を陽イオン化すること」をいっていると思われる。同書の解説文は簡素化されすぎて主述があいまいなところがあり、わかりにくい。金原子核線が照射されたことで崩壊した原子が、なぜ金原子と水素になるかの原理もさっぱりわからないし、核線の閉じ込めもプラズマ関連の技術で理論的には説明がつくのかもしれない。そもそもなぜ「金原子」なのか?「鉄原子」の方が理にかなってるのではないか?など疑問は解決されず終いである。

M.I.D.A.S.(ミダス)の名称について「ギリシア神話に由来しているのでは」とのご助言を頂いた。「ミダス王は自分が触れたものすべてを金(きん)に変わるようにして欲しいという願いが叶えられ大金持ちになったが、口に運ぶ食物さえ金に変わったため空腹に耐え切れなくなる」というもの。