ドッグライフ&ドッグスタイルを読む
(2008.5.11)

連載コミックの世界観については、スクウェアエニックス社内でもチェックが行われているようである。
(チェッカーの能力はヒストリカを読むとわかる)

コミックでの設定の位置づけ(ゲームはゲーム、コミックとは別とするのかとか)、また今後ゲーム内で生かされるかどうかもわからないので、資料集とは一線を画して、主観・妄想を交えながらFM DLDSをいじってみる。

フリーダム空港の入国審査ロビーの手前でO.C.U.とU.S.N.とに分かれている。フリーダム空港を境に島は真っ二つにわかれている。

つまり国境線上にあるか、あるいは至近を国境線が通っているということだろう。
利用者は特に不便はなさそうだが、空港の所有・管理はどのようになっているのだろうか。
バーゼル空港のような体制で運用されているのかもしれないが、空港は安全保障上の要所でもある(特に島では)ので、対立する両国が施設や滑走路を共有するのは異様な光景である。

それよりも気になるのは、5thのムービーで確認できる国境は、フリーダムから100km程度も東にあるので、フリーダム空港に境に国境があるという描写にはかなり違和感がある(国境は[ ハフマン島 ]を参照)。

20年前、ハフマン紛争は国連の介入で一時停戦し、その後、休戦状態のまま現在へ至っている。(ただし「休戦」には傍点)

設定上はPMOの調停により紛争終結である。国連は無関係、一時停戦や休戦でもない。コミックではハフマン危機など両国間で散発的な武力衝突については触れられていない。

(O.C.U.日本からの)入島にはパスポート、O.C.U.市民証、入国申請書が必要。加えて、O.C.U.市民識別コードを細胞に刻印し、O.C.U.市民でU.S.N.領に入った者はたとえ正式の手続きがあってもこのコードで監視される。出国時税関で消去される。

およそこれが意味しているのは、O.C.U.加盟国の国民はハフマン島内での移動が制限されているということであり、正式な手続きがなくてもU.S.N.領内への通行が可能ということである。
もし、O.C.U.市民の越境が容易にできないのであれば、あらかじめ識別コードを刻印する必要はなく、U.S.N.へ入国するときになってはじめて行えばよい。
ハフマン島では簡単にU.S.N.領内へ入れてしまうので厳重なチェックが行われているのだろうが、O.C.U.加盟諸国では相互に協定を結んでいるため、6か月以内の滞在であればビザ不要である(3rdの外務省フォーラム)。

フリーダムは西ハフマンの首都でO.C.U.直轄の総督府がある。

O.C.U.直轄の総督府が西ハフマンを統治してるということだろう。以前書いた内容とも重なるが、O.C.U.は国家の共同体であるから、O.C.U.の領土は必ずどこかの国の領土である。しかし、ハフマン島は国ではない。領有を主張したのも日本やオーストラリアなどの国ではなく、O.C.U.自体である。従って、主権の所在がかなり特殊なものとなる。
U.S.N.は連邦制をとっているから、(東)ハフマン州などとなるだろう。作中に出てくる「東ハフマン政府」というセリフも正確には「東ハフマン州政府」となろうか。

西ハフマン政府はO.C.U.の首都キャンベラ加盟国議会に対し武力行使の許可申請を提出。正式に採択されるまで西ハフマン政府のみで非常事態を発令。

即時、O.C.U.軍が市内に展開していることから、総督には一定の軍事指揮権が与えられているようである。あるいは、中央政府・国防省が予め定めている初動態勢かもしれない。O.C.U.中央政府での何らかの決定や宣言をもって、指揮権を国防省へ移すのだろう。

ハフマン島には年間6兆円超の軍事費が使われている。すべての高層ビルの屋上に対空砲。フリーダムの高層ビル防空レーダーにマーベリック668G空対地ミサイル。

民間人が多数往来する市街に兵器をおいてしまったら、その兵器が敵軍の破壊目標となったときに多くの犠牲者が懸念される。
実際、作中でもビルに空対地ミサイルが直撃し、多くの死傷者が出ている描写がある。「開戦したら3日で100万人死亡との試算」があるらしいが、納得である(フリーダムの人口は90万人)。
マーベリックはアメリカのヒューズ・エアクラフト社が開発した実在する戦術空対地ミサイル(AGM-65)。

無許可での撮影はスパイ容疑で逮捕。

昼間の市中で堂々と輸送しておいて、撮影すれば逮捕とは、ハフマン島は思っていたより殺伐としている印象。ただし、明言はされていないが「兵器や軍事関連施設の撮影」ということかもしれない。

O.C.U.陸防軍の次期主力ヴァンツァー、ゼニスV Pb8 2085年後期型。今年になって西ハフマンに40機配備された。

Pb8という型番は原作者オリジナルのもの。形状はゼニスとあまり似ていない。

就任から1か月 パク・ソンミン総督 2104年のオリンピック招致(西ハフマンだけのオリンピック招致にU.S.N.は反発) O.C.U.陸防軍出身 第1次紛争でWAP部隊を指揮 タカ派国粋主義者

総督は韓国系だろうか。総督の存在が明示されたのはこれが始めて。この場合の国粋主義とはどこを重視することなのだろう。特定の国家(韓国)?O.C.U.? 西ハフマン?

現在のオリンピック憲章では、オリンピック開催地は国ではなく「都市」なので、「フリーダム五輪」となり、2002年のFIFA日韓大会のように、東西ハフマン、2つの国家が共同開催する「ハフマン五輪」はありえない。とはいえ、フリーダムで開催してしまったら、当分の間ハフマン島での開催はないであろうから、「なぜO.C.U.領でやるのか?」と反発する心情は察する。

(第2次紛争前の)小規模衝突に関しザーフトラや中国の仲裁で発展を回避

中国? 過去の設定上、E.C.とする方が自然ではある。核軍縮を進めた中国の白主席が、武力による解決を憂慮するという立場で存在感を示すという流れも悪くない。
ロシア、中国はそこそこの存在感を示しているようだが、現在、発展著しいインドはどのような設定になっているのだろうか(ブラジルはU.S.N.の一部なので目立たない?)。

予備役 西ハフマンの若者は20歳になると2年間徴兵され兵役につく。退役して一般生活に戻っても30歳までは予備役として登録され、有事の際は軍に戻る規定。

前述のように西ハフマンは国家ではない。だとすると、この予備役というのは、国軍か?O.C.U.国防軍か? だが、O.C.U.の若者はではなく「西ハフマンの若者」と言っている。
駐留O.C.U.軍に対し兵役義務があると素直に解釈するのが吉か。

U.S.N.リチャードワイズ大統領が開戦宣言。

既存設定で大統領の名前は出ていないので初出と思う。2092年の大統領選、サカタ事件発覚後で再選は難しいか?
ちなみに既出では、2096年のクリフト大統領、2102年のラブバラード大統領。2nd、3rdのネットワーク上では各共同体の大臣を確認できる。

西ハフマンの地下鉄は防空壕を兼ねている

地下鉄網が空港へ通じていれば、有事の際、要人の避難・島外への脱出路としても利用されるだろう。だが、前で挙げたように、空港が共同管理では有効な経路とはいえない。別の空防軍基地につながっているとか、フリーダム西方でウェストハフマン鉄道に乗り入れ、さらに郊外へ移動できるのか。

東京で例えるならば、永田町付近から地下鉄有楽町線で北上し、西武池袋線への乗り入れを利用して航空自衛隊入間基地へといった感じである。

いろいろ想像していたら止まらなくなったので、公共交通事情をざっくり考えてみた。中規模都市が数10kmごとに点在するような島では、日本の都市圏鉄道事情とは異なるはず。既存の設定と観光資源と「基本は車」というライフスタイルを前提にしたらこうなった。
=> 島内交通機関マップ&鉄道経路図

島内に約2万人の邦人

ハフマン島定住者人口の455万人のおよそ2%、数としては少ない印象だが、やはり日本からは遠いためだろうか。
大多数の日本人はハフマン島の正確な位置を知らないし、「マチュピチュがある国の近く」とか「ガラパゴス諸島の下」といわれてもピンとこないだろう。(ハフマン島の位置は[ google maps ]を参照)。

その夜、U.S.N.軍の大部隊が降下

1st・U.S.N.サイドのムービーや作戦内容を見る限り、エアボーンは日中に行われたイメージが強いのだが、夜間に都市部でWAPの空挺というとんでもない難易度の作戦を展開している。

キャセルB3-九七式「隼」(2085年ごろ?)

レオノーラ社のWAPと思われるが、この型はゲーム中では搭乗しないオリジナル。

「のどかな景色だよねェ」

のどかなのは構わないが、列車が国鉄色らしき塗装の485系、林崎村民の歓迎ぶりが時代錯誤というか、なんか違う。 ザ・ドライブでもアルベルトを見た暁が「学徒出陣か」とおかしなこと言っている。 原作者にとっての戦争とは大東亜戦争・太平洋戦争のイメージなのだろうか。

実際どれほどの世界観チェックが行われているのかわかりませんが、こうして完成されたものを読む限りでは、検閲は甘めのようです(意図的にゆるめなのか、気づいていていないのか、原作者先生の意向を尊重した結果なのかはさておいて)。
では、ドッグライフ&ドッグスタイルの第2巻でまたお会いしましょう。

 

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