サカタインダストリィ事件
概況
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ザーフトラ共和国主導の下、O.C.U.、U.S.N.とが極秘に推進し、サカタインダストリィ社が開発に携わったバイオニューラル・デバイスの開発計画「メタル・ワーカー・プロジェクト」に関連する非倫理的な生体実験。また、B.D.マテリアル(WAPパイロット)確保とその実地試験として利用するため、第2次ハフマン紛争を企てた疑惑の総称。
B.D.は人間特有の思考能力と判断力により戦闘能力を飛躍的に向上させるが、量産が困難であった。また、B.D.搭載WAPを用いた実戦テストの場が必要とされた。これら問題の解決の手段として、第2次ハフマン紛争が計画された。
2070年代に、ザーフトラ、O.C.U.、U.S.N.は相次いで研究開発機関や施設を設置し、軍内部でもB.D.搭載WAPの開発・試用を目的とする部隊が編成された。第2次ハフマン紛争前から、B.D.マテリアルの確保が行われており、B.D.マテリアルとして利用され犠牲となった兵士の延べ数は、第2次ハフマン紛争の戦死者数を上回るとも言われる。
紛争終結後もB.D.開発や犠牲者に関する情報は隠蔽されていたが、2092年8月12日付のデイリーフリーダム紙が、事件の実態を初めて報じた。事件解明の足がかりをつくったキャニオンクロウに同行した従軍記者フレデリック・ランカスターの著書「祖国達の島」も世界的反響を呼び、ハフマン紛争勃発の経緯などについて真相究明の世論が高まった。
2094年になってO.C.U.、U.S.N.は報道の一部を事実と認めたが、ザーフトラ共和国は関与を否定し続けた。サカタ社は解体。
軍事用バイオニューラル・デバイスの開発は、各国から非人道的であると非難を浴び、技術研究は永久に凍結された。
O.C.U.における事件の経過と影響
紛争前、O.C.U.科学技術省のブラウン博士らがPSP研究を開始。軍内にアイハン・ハーツを設立し、グーリー・オルソン大佐を指揮官とする傭兵部隊カズムオウルズが編成された。ハフマン島ニューミルガンにB.D.マテリアル確保・育成のための孤児院を建設。
紛争勃発後、グーリー・オルソン大佐を指揮官と傭兵部隊キャニオンクロウを新設。部隊結成の目的がB.D.開発であることを知っていたのはオルソン大佐と副官のブレイクウッド中尉のみで、この2名が計画に沿って部隊を運用していた。また、オルソン大佐は、U.S.N.軍ニルバーナ機関のドリスコル大尉と緊密な連絡をとり協力体制を構築していた。
キャニオンクロウ隊長のクライブ大尉は、途中入隊したランカスター記者の進言で、B.D.計画と紛争の真意を察し、部隊を率いて軍を離れた。遅れて、ブレイクウッド中尉も大尉の行動に同調し、オルソン大佐と軍に反抗。同隊は、サカタ社らの共謀を早くから察知していたハフマンの魂と合流。サカタ社の坂田浩一社長を追って向かった先のロングリバース島で、島内に極秘に建造されていた開発本部施設を爆破した。
事件発覚後、C.I.S.U.の内部告発により、O.C.U.陸防軍情報部長ダニエル ・シェンバックが懲戒退役処分を受けた。
2094年、O.C.U.政府は事件への関与を認めた。
U.S.N.における経過と影響
紛争前、ハフマン島U.S.N.領内に陸軍兵器開発特務機関「ニルバーナ」を非公式に設置。ザーフトラから派遣されていたドリスコル大尉が同組織を管理。レイブンの研究・開発が開始された。また、ハフマン島ソレイトにB.D.マテリアル確保・育成を目的とする孤児院を建設。軍部はプラウド・イーグルを設け、陸軍に第17機動戦隊を編成した。
2088年、新兵器開発機関への非公式な公共投資関係費流用があるとU.S.N.公安委員会が指摘。政府は医科学分野での民間への資金協力と説明した。
紛争中、O.C.U.軍とU.S.N.軍の間で行われたB.D.マテリアル受け渡しが失敗。B.D.マテリアルの焼却など証拠隠滅を図ったウィンガー准将の指示で、その現場であるラークバレーが爆撃を受け街は壊滅した。また、グレイロック病院からのB.D.マテリアル(候補?)搬出を終えた後、証拠隠滅のため同病院はニルバーナにより爆破された。
紛争開始から、生体認証やIDタグによる管理網をくぐりぬけた行方不明者が続出する事態に諜報部が調査を開始。ある追跡調査によれば、サカタインダストリィの関連があったという。
ニルバーナに一時在籍し、B.D.マテリアル候補の一人であったケビン・グリーンフィールド少尉は、暴走するWAPやニルバーナ、ウインガー准将らの動向を懐疑し、ギルモア博士を聴取。博士の証言からB.D.開発の暗部を知り、ウインガー准将へ直訴、事実の告発を試みるが、その行動が命令無視とされ逮捕された。拘留中にB.D.開発を調査するU.S.N.陸軍情報局調査部と接触し、調査協力と引き換えに拘留を解かれた。他所で拘留中であった元リンクス隊隊員らと合流し、ウインガー准将が乗船する空母サンタバーバラを強襲。直後、情報部も到着し、ウインガー准将らは逮捕された。
事件後、パトリック・ウインガー准将ら6名が、第2次ハフマン紛争の混乱を利用して、ラークバレーへの無差別攻撃をはじめとするハフマン条約に抵触する行為、国益に損害を与える軍事行動をとった疑いなど数件で起訴された。また、ウインガー准将らはケビン・グリーンフィールド少尉をB.D.マテリアルとしてニルバーナへ収容する計画を進め、B型デバイス本体と研究資料、B型デバイス対応レイブン3機を強行手段により空母サンタ・バーバラへ搬送していた。
2094年、U.S.N.政府は事件への関与を認めた。
ウィンガー准将らの起訴について
2092年3月18日、重要参考人であるサカタ社会長坂田玲二、同社社長坂田浩一、ドリスコル元陸軍大尉など関係者が死亡もしくは行方不明となっており、法廷は事実解明は困難と断定し、証拠不十分で不起訴処分とした。
ウインガー准将については、軍部の信用を失墜させたとして自主退役を申請(即日受理)。
なお、この裁判でU.S.N.軍情報部は、B.D.やニルバーナに関する資料の提出を最小限に留め、ウインガー准将の容疑を深く追及せず、彼の背後にある組織・人物を油断させ動向を探るため、意図的に不起訴処分に持ちこんでいる。
ザーフトラ共和国における経過と影響
2070年代、ザーフトラ共和国の主導でO.C.U.、U.S.N.と共同でメタルワーカープロジェクトが始動。ドリスコル大尉とアイシャ博士ハフマン島に派遣。サカタインダストリィと共同で?、ドミトーリ公社がラーカスやロングリバース島などハフマン島各地に医療設備工場に偽装したB.D.研究開発工場を設置。
紛争中はサカタ社やドリスコルを通じ、B.D.開発に関与?
2091年、自国でS型デバイスの開発に成功したため、サカタ社が開発・実用中であったB型デバイスへの関心が薄れていた?
B.D.開発の報道後も、ザーフトラ共和国は関与を否定し続けたが、大統領は辞任。同時に、ザーフトラ共和国を最高常任理事国とする恒平和調停機構事務局長メルディフスキーもその職を退いた。
サカタインダストリィ
2070年代、メタルワーカープロジェクトに参加し、B.D.開発に着手。着事件発覚後、経営難に陥り、2094年にイグチ社に買収され姿を消した。ドミトーリ公社と共同で?、ラーカスやロングリバース島などハフマン島各地に医療設備工場に偽装したB.D.研究開発工場を設置。
2089年、単独出資で傭兵部隊ヴァンパイアズを創設。ハフマン島で、B.D.マテリアルとして兵士(遺体を含む)を収集し、PSP実験機の開発を進めた。
紛争中は90式、レイブン、シーキングなどB型デバイス対応のWAPが実戦に投入された。
事件発覚後、経営困難となり2094年に解体。イグチ社に吸収された。坂田玲二会長は浩一社長により殺害され、浩一社長はロングリーバス島地下施設でドリスコルにより殺害された。
O.C.U.・U.S.N.のB.D.関連組織・人物対応表
両国・両軍で、ほぼ同階級の人物と、目的を同じくする組織が事件に関与している。
O.C.U. | U.S.N. | |
---|---|---|
実行者 | ブレイクウッド准将 オルソン大佐 リヴァース大佐 |
ウィンガー准将 ドリスコル大尉 レヴィン大佐 |
特務機関 | 独立機関(名称不明) | ニルバーナ 独立機関(名称不明) |
企業 | サカタインダストリィ [ヴァンパイアズ] |
--- |
マテリアル確保 | アイアンハーツ | プラウドイーグルス |
マテリアル候補 (部隊) |
カズムオウルズ キャニオンクロウ |
第17機動戦隊 |
研究員 | ブラウン博士 | ギルモア博士 |
マテリアル育成. | ニューミルガン孤児院 | ソレイト孤児院 |
内部の計画反抗 | キャニオンクロウ クライブなど |
リンクス小隊 グリーンフィールドなど |
事件調査 | C.I.S.U. | 陸軍情報局 |
このシンメトリックな両陣営を設定視点から好意的に解釈すれば「ザーフトラ共和国が両国を巧みにコントロールし、システマティックに紛争と計画を操っていた」とも取れる。
実際には、FMOでストーリーを展開させる都合上、両陣営でほぼ同じ流れとするための便宜を図った結果である。だが、この下準備として1stのU.S.N.サイドで付け加えられたストーリーは、O.C.U.サイドに深みを与え、5thへのよい布石となった。